電話中のお客様との距離が縮まるたった1つの魔法の言葉(マジックフレーズ)をご紹介します。
あらゆるお客様と友好な関係を築くための魔法の言葉です。言葉というよりも「前置き」のようなものかもしれません。
魔法の言葉、それは…
「クッション言葉」
と呼ばれるものです。
え…?クッション…?なにそれ??
クッション言葉と聞いて疑問に思う方も多いかもしれません。
実はこの魔法の言葉、コールセンターでお客様と会話をするにあたり、非常に重要な言葉なんです。
クッション言葉の効果とは?
クッションと言うと座布団?のようなものを思い浮かべると思います。クッション言葉とはまさに座布団のようなものです。
何も敷かれていない固い床に座ると、足がしびれたり痛くなったりしますよね?それを和らげるための魔法のクッション(言葉)なのです。
誰しも、なんの前置きもなく指示や依頼などをされると「突然なんなんだ?」と思いますよね?そういった唐突性をやわらげ、かつ相手を敬っているという気持ちを伝えるための言葉、それが「クッション言葉」です。
クッション言葉はどんな言葉?
クッション言葉がどんなものなのか、早速例を挙げて見てみましょう。
例1「お~い、これ貼っといて~」
はい、もう誰かお分かりですね?その通り、タモリさんです。このセリフは笑っていいともでタモリさんがスタッフにポスターの貼り付けを頼む際の、言わずと知れたセリフです。
コールセンターではお客様に対してこのようにお願いするわけにはいきませんね。このセリフを丁寧に表現すると、
- 「これを貼ってください」
となりますが、このままではまだ命令しているニュアンスです。そこでクッション言葉の出番です。クッション言葉を使用すると以下のようになります。
- 「お手数ですが、こちらのポスターを貼って頂けますか?」
このように伝えることによって、相手を敬いながらこちらの要望を伝えることができます。
クッション言葉の使い方について
効果的にクッション言葉を使うには、伝えたい言葉、依頼したい言葉の直前に使います。
- 「お手数ですが、こちらのポスターを貼って頂けますか?」
この「お手数ですが」というのがクッション言葉となります。このようにクッション言葉という前置きを使用してワンクッション挟んでいるために、敬意を払ってお願いしている、というニュアンスになるのです。
もちろん「お手数ですが」だけでなく「申し訳ございませんが」「恐れいりますが」「大変恐縮ですが」など、使用シーンによって様々なクッション言葉のバリエーションがあります。詳しくはこちらも参考にして下さい。
クッション言葉+「依頼形」でお願いするとより丁寧になる
クッション言葉を使用したとしても、その後に続く言葉が「命令形」では相手に対する敬意が感じられません。
NG例
- お手数ですが、こちらのポスターを貼ってください
上記のように、適切なクッション言葉を使用したとしても、命令していることに変わりはありません。
より丁寧で敬意のある表現にするためには「命令形」ではなく「依頼形」でお願いすることが大切です。
OK例
- お手数ですが、こちらのポスターを貼っていただけますでしょうか?
「~してください」ではなく、
- 「~していただけますか?」
- 「~していただいてもよろしいでしょうか?」
と「依頼形」にしてお願いすることを心がけましょう。
クッション言葉を後付けすると効果が半減する
名前の通り、クッション言葉は伝えたい事や、お願いしたい事の直前に「挟む」ことが目的です。
前置きとして使用することによって、話し手の気持ちや配慮を先行して伝えることができます。
クッション言葉を後付けすると、あたかも取って付けたような印象を与えてしまうため、効果的とは言えません。
クッション言葉を後付けした例
伝えたいことが先行しているため、後からクッション言葉を付け足したとしても、指示、命令された印象を受けてしまいます。
クッション言葉を全く使用しないよりは良いですが、効果的に使用するには「直前」に伝えることが肝心です。
例2「名前を教えてください」
お客様のお名前をお伺いする際も、クッション言葉を使用してお伺いするほうが望ましいですね。
- 「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
このように伝えれば、失礼のない敬意を表した表現となりますね。
クッション言葉は一度の会話で何回くらい使うの?
クッション言葉は一度の会話で何度くらい使ったらいいのでしょうか。正解は「何度使っても良い」です。敬意を払われて嫌な思いをする人はいませんからね。
ただ、非常にお急ぎのお客様に対してクッション言葉を使用し過ぎると、お客様との会話が長くなってしまいますので、状況をみて適宜クッション言葉を使用し、お客様を敬っている気持ちを伝えた方が良いでしょう。
クッション言葉を使用した場合とそうでない場合の電話対応の比較
クッション言葉を使用した場合とそうでない場合の比較を見てみましょう。まずはクッション言葉を使用していない場合の電話対応です。
クッション言葉を使用していない電話対応
いかがでしたでしょうか。失礼な印象を与えてはいませんが、所々で唐突に物事を依頼しているため、やや敬意を欠いた印象を与えます。
続いてはクッション言葉を使用した対応を見てみます。
クッション言葉を使用した場合の電話対応
クッション言葉を使用することによって、より一層丁寧で敬意を示している印象となります。
クッション言葉の使い過ぎに注意
ただ、以下のように1つの文で複数のクッション言葉を使用することは望ましくありませんので、注意が必要です。
- 「お手数ですが、必要事項をご記入頂き、ご面倒ですが、郵便ポストに投函して頂いてもよろしいでしょうか?」
これでは本来お客様へ伝えるべき内容がはっきりと伝わりませんし、慇懃無礼な感じまで与えてしまいます。この場合「ご面倒ですが」は省略し、
- 「お手数ですが、必要事項をご記入頂き、郵便ポストに投函して頂いてもよろしいでしょうか?」
とお伝えすれば、スマートにお客様へ伝わるはずです。
POINT適宜、適切なタイミングでクッション言葉を使用し、お客様との会話を円滑に進められるようにしましょう。
下記の記事では会話中の効果的な相槌について解説していますので、興味のある方は参考にしてみてください。