「どちら様ですか?」
誰しも一度は耳にしたことのある、または発したことのある言葉だと思います。
そもそも「どちら」とは?
「どちら」には本来3つの意味があります。
1.方角を訪ねる
- どこに向かうのか、どの方向に向かうのか
2.複数の物の中から選んでもらう、または選ぶ
- どちらになさいましょうか?
- どちらがご希望ですか?
- →どちらでも構いません
3.場所を聞く
- どちらの出身ですか?
どちらを使う対象は「方角」や「物」であって「人」に対しては使用できません。人に対して「その人が誰であるか」を尋ねるときは「どなた」を使います。
相手の名前が分からないとき、本来は方角や物に対して使用する「どちら?」を使用して名前を聞くのは非礼な印象を与えてしまいます。
更に「様」までつけてしまうと小馬鹿にしているようなイメージさえあります。
「どちら様ですか?」は失礼?
「どちら様ですか?」は相手が名乗らなかったことに非があるようなことを丁寧に言っているようなニュアンスがあり、相手を小馬鹿にしている印象を与えてしまいます。
たとえ名も名乗らずどこからやってきたか分からないような人がいたとしても「どちら様ですか?」と聞くのはビジネス上ではふさわしくありません。
では名前を名乗らない相手に対してはどうすれば良いのでしょうか。
「どちら様ですか?」の丁寧な言い換え方法について
電話の相手が名乗らない場合には、
という言い方で相手の名前を聞くのが正しい聞き方です。
さらに、
- 「恐れ入りますが」
- 「失礼ですが」
などのクッション言葉を使用すると更に効果的です。
ビジネスやコールセンターではお客様に対して失礼のないように努めなければならないため、お客様の名前を聞く前にはクッション言葉を使用するのがより効果的です。
電話をかけた側が初めに名乗るのがマナー
ビジネス上だけではなく、一般的には電話をかけた側が始めに名乗るのがマナーであり、相手に対する礼儀でもあります。
例えば電話を取った際、電話相手から開口一番に、
と言われると、
(まずあなたはだれ?)
と思いますよね。
そんなときは「どちら様ですか?」と言い返してしまいがちです。
実際のところ、私も小さい頃から「知らない人から電話が来たら、どちら様ですか?と聞きなさい」と教えられていました。しかし社会人になり、まずは名前を名乗るのがマナーであることが分かりました。
相手の名前を聞くときの失礼な聞き方
「どちら様ですか?」と同様に、相手の名前を聞くときに失礼な聞き方があります。
- どちら様でしょうか?
- どちら様になりますか?
- どちら様でいらっしゃいますか?
- お名前様教えて頂けますか?
- お名前頂戴できますか?
- お名前頂いてもよろしいですか?
- お名前のほうを教えていただけますか?
- 下の名前もお聞かせ頂けますか?
上記のような聞き方はビジネス上では使用厳禁です。シンプルに「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」と覚えましょう。
間柄、続柄を確認するとき
契約者ではない別の方から電話があった場合、たとえば、
「木村太郎」という契約者について、
「鈴木さん」と言う方から電話があったとします。
この場合、名字が異なるため「どちら様ですか?」と聞いてしまいがちですが、電話相手が親戚や家族である可能性もあります。
電話相手と契約者との間柄、続柄を確認するときには、
- 「失礼ですが、契約者様とのご関係をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
と尋ねるのが正しい確認方法です。
どちらの〇〇様ですか?も失礼
電話の相手の会社名を聞きたい時に、
「どちらの〇〇様ですか?」
と聞くのも失礼にあたります。この場合には、
- 「失礼ですが、会社名(御社名)もお伺いしてよろしいでしょうか?」
と聞くようにします。
さいごに
「どちら様ですか?」という言葉は昔から定着しつつもある言葉でもありますが、失礼な印象を与えかねませんので使用しないほうが良いでしょう。