コールセンターが通話を録音する4つの理由について

電話応対の品質向上のために、この通話を録音させていただいてあります。予めご了承ください。

コールセンターや企業のお客様相談室などに電話をかけると、このようなガイダンスが流れることがあります。

今回は長年コールセンターの管理者として働いていた経験のある筆者が、コールセンターで通話を録音する4つの理由について解説します。

コールセンターが通話を録音する4つの理由について

通話を録音するにはそれなりの正当な理由があります。まずはガイダンスで流れる通りの「品質向上」のためという理由から説明します。

①電話応対の品質向上のため

ガイダンスで流れるとおり、「電話応対の品質を高めるために録音する」という理由が表向きの理由です。電話応対の品質が高まると結果として「お客様満足度」に繋がるからです。

誰だって電話応対で嫌な思いをすれば、そんな会社の商品やサービスを利用したくないと思うのは当然です。電話応対の品質を上げ、顧客獲得ないしは顧客維持に繋げているわけです。

特に、契約者が他社へ変遷しやすいと言われている、

  • 携帯会社
  • 自動車保険会社
  • クレジットカード会社

などは特に電話応対の品質を上げることに注力している傾向があります。

どうやって電話応対の品質を上げているのか?

ではお客様との通話を録音してどのように電話応対の品質を向上させているのかというと、

各オペレーターのリーダーまたはスーパーバイザー(監督)が、録音した音声を抽出し、通話での「良い点」と「向上すべき点」をオペレーターへとフィードバックするんですね。

その評価項目は一般の人には分からないくらいに細分化されていることが多いです。たとえば、

  • 挨拶の言葉、保留前後の挨拶
  • 通話中の適切な間
  • 適切な相槌
  • 共感、同感、同調の言葉
  • 声の抑揚
  • 適切な敬語

など、数え上げればキリがありません。

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企業によっては通話の品質を「数値化」し、オペレーターの成績として取り扱うこともあります。

つまりは応対品質の向上とは、サービス品質の向上のためでもあり、企業が高みを目指すために必要な方策でもあります。

②「言った言わない」のトラブルを防ぐため

なおこの通話は、通話内容の確認とサービス品質向上のため録音させていただいております。あらかじめご了承ください

電話応対でしばしば問題となる「言った言わない」の問題。書面や誓約書、契約書がないため「口約束」となるのが電話応対の特徴です。

電話応対時の通話内容を録音することによって、言った言わないのトラブルを防ぐという効果があります。

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通話の録音は必ずしも企業側だけに有利に働くわけではなく、顧客や消費者を守ってくれるものでもあります。

電話応対にて、企業側が誤った案内をしてしまったがゆえに、消費者が何かしらの被害を受けたことが判明した場合には、企業側で直ちに通話記録を確認する必要があります。

通話を録音することで、当然のことではありますが企業と消費者双方にとって、発言の責任の所在が明確になるということの意識付けになるという効力もあります。

③オペレーターの精神的ダメージ軽減のため

コールセンターでは、お客様からの罵声、暴言によってオペレーターが受ける精神的ダメージについて懸念されることが多々あります。

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そんなときに一役買ってくれるのが「通話を録音しています」という事前ガイダンスです。電話でのやりとりでも暴行罪や脅迫罪などが適用されることがあります。その訴えの証拠となるのが「通話記録」です。

通話を録音していることを事前に知らせることで、消費者に対し暴力的な発言をある程度自制させるという効果があると言われています。

筆者が以前働いていたコールセンターの年配の上司(60歳)の話によると、「事前に通話を録音することを知らせたことで、穏やかなお客さんが増えた」とのことでした。

逆に、企業側が消費者に暴言、罵声を浴びせてしまった日には大変です。今は個人がメディアでの発信者になる時代ですので、企業側の暴言が個人によって録音され、メディアに流されてしまうということも十分に考えられます。

④警察からの捜査関係事項照会のため

通話内容というものは重大な個人情報に該当し、第三者へ無断で開示することが禁じられています。「通信の秘密」といって、通信、通話によって知り得た情報を他人に漏らすことは法律で禁止されているわけです。

しかし、警察から通信事業者に対し情報の照会を求められた場合には、通信事業者はこの照会に応じなければならないという義務があります。

たとえば、とある犯罪者の携帯電話の発信記録や通話内容、発信先など、警察の照会に応じ情報を提供することによって捜査に役立てたり、犯罪の抑止に繋げているわけです。

対応が急がれる場合にはガイダンスは流れない

商品の購入受付、住所のご変更〜などを受け付けるコールセンターと異なり、より迅速な対応を求められるコールセンターがあります。

たとえば自動車事故発生時の一報を受け付けるコールセンターやロードサービスなどがそれにあたります。

こういったコールセンターは、悠長に「この電話は通話内容の〜」などのガイダンスは流れず、すぐさまオペレーターに繋がるところがほとんどです。

だからと言って「通話が録音されていない」ことはありません。むしろ、迅速な電話応対が求められるコールセンターこそ言った言わないのトラブルが多くあります。

筆者自身も過去に自動車事故受付のコールセンターでSVとして働いていたことがありますが、事故が起こると平常心を保つのは難しいため、感情的になってしまうお客様もいます。事故当時にコールセンターのオペレーターと話した内容を記憶していないというお客様もいます。

こちら側が言ってもいないことを「前回そう案内された!」と言われ、何度もオペレーターの通話記録を確認した経験があります。

個人宅でも通話録音機能設定がある

この通話は、迷惑電話防止のために録音されます。あらかじめご了承ください

企業だけではなく、個人用の電話(固定電話および携帯電話)にも通話を録音できる機能やサービスが存在します。

主に迷惑電話対策のため、又は自営業を営んでいる個人の方が通話の記録を残すため録音しているということが多いようです。

さいごに

近年では、音声に限らず映像なども記録に残る時代になってきています。

いつどこで自分の行いが記録されているか分からないものですが、「仰いで天に愧じず」という言葉もあるように、自分自身を省みた時に全く恥ずかしくないような言動を心がけたいものです。

       

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