固定電話を持ったことがない・・・。
近年の連絡手段はSNSやメールのやりとりが主流になっていて、電話対応の基本ルールやマナーが分からずに社会人になるという方が増えているようです。
今回は「電話対応が不安」という新人向けに、電話対応フローを作成しました。各項目にある「解説」に目を通してもらうとより一層理解が深まると思います。
電話対応の基本フロー(電話の受け方)
- 「ベルが鳴ったらすぐに出る」
- 「すぐにメモを取れるように準備しておく」
- 「お電話ありがとうございます。○○株式会社、△△でございます」
- 「○○会社の△△様でございますね、いつもお世話になっております」
- 「いつもお世話になっております」
- 「先日はありがとうございました」
- 「〇〇の件ですね。担当者にお繋ぎしますので少々お待ちください」
- 「確認いたします」
- 「お電話ありがとうございました」
- 「それでは失礼いたします」
- 「相手が電話を切ったことを確認してから電話を切る」
解説
1.電話が鳴る
- ベルが鳴ったらすぐに出る
- すぐにメモを取れるように準備しておく
電話のベルが鳴ったら、すぐに出る心構えを持ちましょう。「きっと誰かが出るだろう」と社内の全員が思ってしまえば、結果としてお客様を待たせてしまうことになります。
特に新人のうちは1つでも多くの電話を取って電話対応に慣れることが大切です。
電話は何コール以内で出れば良い?
基本的に、ワンコール鳴って受話器を取るのが望ましいタイミングです。少なくとも3コール以内では必ず出るように心がけたいところです。3コール以上のベルが鳴ってしまうと電話をかけた側は「長く待った」印象を受けます。
電話は結局誰かが必ず取らなければならず、ベルが鳴っている間はお客様は不安な気持ちを抱いている、ということを常に理解し率先して自分が電話を取る心構えを持ちましょう。
メモが取れるように準備しておく
メモを取らずに言われたことを頭で覚えようとするのはNGです。特に電話番号やその他「数字等」の情報は空で覚えるには不安がありますし、メモを取らずに失念してしまった場合の責任は重大です。
常にメモとペンを自席に用意し、伝えられた情報をしっかりとメモに書き留められるように癖付けておきましょう。
特に新人のうちは、お客様から伝えられた情報をしっかりと聞き取り、上司や他の担当者へ「ミスなく」伝達することが主な仕事になってきます。
一言一句正しく伝達できるよう、メモはしっかり取りましょう。
2.自分から名乗る
- 「お電話ありがとうございます。○○株式会社、△△でございます」
電話を取った後は必ず「自分から」名乗ります。名前を名乗らずに、
- もしもし?
- はい?
- どちら様ですか?
と応答するのはNGです。
電話を頂いたという感謝の気持ちを持つ
電話をかけて頂いたことに対するお礼の意味を込めて、まずは「お電話ありがとうございます」と伝えます。※ただし業種によっては喜ばしいことでない電話(事故や災難、葬儀関係など)を受けるものもあります。
その場合は「お電話ありがとうございます」の代わりに、
- 「お待たせいたしました」
と言い換えましょう。
電話がすぐに取れなかった場合は?
何らかの事情で電話がすぐに取れず、長らくお待たせしてしまった場合(3コール以上鳴った場合)には、先程と同様に「ありがとうございます」の代わりに、
- 「お待たせいたしました、○○株式会社、△△でございます」
と言い換えた方が無難です。こうすることでトラブルを減らすこともできます。また、名乗りの際に必要な事項は、
- 自分の会社名
- 自分の部署名(場合による)
- 自分の名字
の3点です。会社名のみを名乗り、自分の名字を名乗らないという会社が良くありますが、自分の名前を名乗ることが相手に対する礼儀、マナーです。
自分の名前を名乗る事は、「この電話に出ているのは〇〇(自分の名前)で、〇〇が責任を持って対応させていただきます」という意味合いを含み、電話の相手に対し安心感を与えるという効果もあります。
3.相手の名前を確認
- 「○○会社の△△様でございますね、いつもお世話になっております」
相手が名乗った後は、聞き取り間違いを防ぐためにも相手の名前を復唱確認しましょう。
相手の名前がはっきりと聞き取れなかった場合に、推測や憶測で決めつけてしまうのは、大きなトラブルの元となるため危険です。
はっきりと聞こえなかった場合には、
- 失礼ですが、もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?
と丁寧に聞き直しましょう。
電話相手の会社名の聞き方について
電話の相手が会社名を名乗らないことがあります。そんなときに、
- どちらの鈴木様でございますか?
という聞き方は些か失礼です。相手の会社名を聞く時は、
- 恐れ入りますが、会社名もお伺いしてよろしいでしょうか?
という聞き方をしましょう。
4.日頃のあいさつ
- 「いつもお世話になっております」
- 「先日はありがとうございました」
電話の相手が名乗った後には必ず日頃のあいさつの言葉を伝えましょう。
たとえ初めて聞くような会社名だった場合でも、取引先の関連会社や子会社であるということが往々にしてあるため、あいさつを蔑ろにしてしまっては大変失礼になります。
また、相手が個人名しか名乗らなかったが、実は取引先の会社の社長であった、というケースもあります。
相手が名乗った後は必ず日頃のあいさつを伝えるということを習慣づけておきましょう。
また、省略形のあいさつは誠実さを感じられないため使用は厳禁です。
NG
- お世話さまです
せっかく日頃のあいさつを伝えるのであればしっかりと、
- いつも(大変)お世話になっております
と省略せずに伝えるのが正しい日頃のあいさつ表現です。
5.相手の用件を確認
- 「〇〇の件ですね。担当者にお繋ぎしますので少々お待ちください」
- 「確認いたします」
電話の相手のご用件、ご要望をしっかりと聞き取り話をすすめていきましょう。この時相手が話している内容を聞き漏らさないようにしっかりとメモを取る事を忘れずに。
また、相手が用件を述べているときには、「しっかりとあなたの話を聞いています」ということを示すため、適宜適切な相槌を使用して相手の話を促しましょう。
また、ただ単純に相手の話を「聞く」だけではなく、可能な限り話し手の心情、心境、背景に寄り添う姿勢を意識し、話を「聴く」ことも重要です。
そのように努めることによって、思わぬ解決方法が見つかったり、より良い提案へと繋がることがあります。
6.終わりのあいさつ
- 「お電話ありがとうございました」
- 「それでは失礼いたします」
電話の用件を聞き終えたあとには、必ず終わりの挨拶を行いましょう。
電話の終盤の印象は、電話全体の印象を決めるといってもいいくらい大切です。例えば電話の最中に相手の気分を害してしまうような言動や情報があった場合でも、電話の終盤で、
- 先程は失礼な言動をしてしまい申し訳ございませんでした
- お客様のご希望に添えず申し訳ございませんでした
と伝えることによって、全体の印象を少しでも良い方向へ導くことができます。ここで大切なことは、表面上の着飾った言葉ではなく、誠心誠意、心を込めて気持ちを伝えることです。
話し手の気持ちは声色に表れ相手に伝わるので、上手い言葉を探すよりも、不器用でも心のこもった終わりのあいさつを行うことが重要です。
7.電話を切る
- 「相手が電話を切ったことを確認してから電話を切る」
用件を聞き終え、そそくさと電話を「ガチャ」っと切ってしまっては、電話の相手を蔑ろにしている印象を与えてしまい大変失礼です。
相手が電話を切り、「プー、プー、」という切電の音声を確認して初めて電話を切ります。
よくあることですが、終話間際に相手が何か思い出したように「あっ!すいません!」と言葉を発することが多くあります。相手が電話を切るのを待つ間は、しっかりと電話機に耳に当てておけば、まだ用件があったときでもすぐさま返答ができます。
電話の切り方
通常は相手が電話を切ってから、こちらも電話を切るのが基本ですが、立場的な観点から、こちらから電話を切るというシチュエーションも出てきます。
電話を切る際には、受話器を「ガチャ」と置いて電話を切らないようにしましょう。これはいわゆる「ガチャ切り」といわれるものですが、ガチャ切りを行うと相手の耳元で不快な破裂音が生じます。
この破裂音は非常に不躾な印象を与えるので絶対にやめましょう。また、静かに受話器を置いて電話を切ったとしても、同様の破裂音が相手に聞こえてしまいます。
電話を切る際には、電話機に搭載されている「終話ボタン」を押すか、受話器を置く部分(耳に当てる部分を置くところ)のボタンを指で押し、電話が切れたことを確認してから受話器を置きます。
こうすることで相手に「無音」で電話が切れたことを伝えることができます。
電話対応で「新人の〇〇です!」はアリ?ナシ?
たまに聞くことのある、自身の名前を名乗るときの「新人の〇〇です!」という言葉。
「まだ新人のため、至らない点があったり、知識が不足していることもありますが、大目に見てくださいね」
という捉え方をされてしまうこともあるため、本来であればこのような表現は避けたいところです。
ビジネス上では「できて当たり前」と思われる節があるため、相手からすると新人であろうがベテランであろうが関係ありません。相手に対してしっかりとプロ意識を持って対応する必要があります。
さいごに
今回は新人向けの電話対応(受け方)についてお伝えしました。電話対応に不安がある新社会人の方は是非参考にしてみてください。