電話対応において、すべてのお客様が満足できる「良い対応」を行うことは、企業にとって極めて重要です。
電話対応の良し悪しは「応対品質」と言われてますが、応対品質を向上させることがお客様満足度の向上へ繋がります。
今回は応対品質を向上させるための具体的なポイントについて例を挙げて解説します。
電話対応の品質向上のための10のポイントを解説
良い「オープニング」が印象を左右する
「オープニング」とは「出だし」「序盤」という意味で、電話対応の始まりとなる部分です。オープニングでお客様に良い印象を持ってもらうことで、電話対応の品質が大いに向上します。
明るくハキハキとした声で対応する
お客様は電話をかける直前まで「どんな人が電話に出るのかな」と不安になっているものです。第一声を明るくハキハキと伝えることで、そんなお客様の不安を取り除くことができます。
「挨拶」+「会社名」と「自身の名前」の名乗り
オープニングでは挨拶と会社名と自身の名前をしっかりと名乗ります。
- お電話ありがとうございます。株式会社〇〇の△△でございます
挨拶は「お電話ありがとうございます」が一般的ですが、お客様を待たせてしまった場合には、
- お待たせいたしました。株式会社〇〇の△△でございます
と言い換えたほうが望ましいでしょう。3コール以内では「お電話ありがとうございます」、3コール以上鳴った場合は「お待たせいたしました」と覚えましょう。10コール以上なり続けている場合には「大変お待たせいたしました」と伝えましょう。
笑声を意識して好印象を
笑声は「わらいごえ」ではなく「えごえ」と読みます。「笑声」とは「笑顔」の声バージョン。いつもよりワントーン高い声で、相手を迎え入れる気持ちを持つことで笑声は生まれます。
表情と一緒で、第一声が暗くどんもりしていては決して印象は良くありません。電話対応ではオープニングで笑声を使用することで、相手に良い印象を与えることができます。
用件の復唱確認
お客様の要件や質問、要望を「復唱確認」することも品質向上のためには重要です。
復唱確認と聞くと、難しいと思われがちですが「お客様の申告内容をオウム返しする」ことを意識してみましょう。
- お客様「すいませーん、住所変更したいんですけどー」
- あなた「ご住所の変更でございますね?」
このようにシンプルにそのまま返答することを意識してみましょう。相手の用件、ニーズを確認することで、相手にとって安心感も生まれてきます。
お客様の気持ちに寄り添う
共感、お詫びの気持ちを伝えるということは電話対応上で非常に重要です。お客様の申告内容を傾聴し、お客様がどんな気持ちでいるか、どんな気持ちになったかを汲み取る力をつけることが大切です。
- お客様「電話料金払ったのに、督促状が届いたんだけど」
- あなた「ご心配をおかけして申し訳ございません、すぐにお支払状況を確認いたします」
まずはご心配をおかけしてしまったことに対して共感、お詫びの気持ちを伝えることが重要です。ただ単純に、「調べます」とだけ伝えては事務的な印象を与えてしまいます。
一期一会の気持ちを持って、相手に親身になって対応することで共感の姿勢は生まれてきます。
話すスピード、早さを意識する
電話対応において、話すスピードを意識することは応対品質を高めるうえで非常に重要な要素です。
ではどのくらいの早さで話すのが理想なのかと言うと、「相手のスピードに合わせる」ことがその答えになります。
高齢者の方は比較的ゆっくりと話す傾向があると言われていますが、相手の話のペースに合わせ、こちら側もスピードを落とすことが重要です。
また、相手側が急いでいる口調で質問してきているにもかかわらず、マイペースかつ丁寧に対応してしまうと不快な思いをさせてしまうこともあります。
常に相手側のペースを意識して電話対応に臨むことが大切です。
傾聴の姿勢、あいづちについて
電話対応では、相手の話を「聞く」のではなく、「聴く」ことが重要とされています。
ただ話を聞くのではなく、お客様の心境、心情、背景などを汲み取り、親身になって傾聴する姿勢が大切です。
電話対応の品質を下げる大きな要因として、相手の話を「遮る」というものがあります。相手が話をすすめている最中に、
- いえ、違います
- それなんですど、実は
- ちょっといいですか〜
- ですから〜
など、相手の話に割って入るのはNGです。場合によっては大きなクレームに発展することがあります。何が伝えたいことがあったとしても、まずは傾聴の姿勢を崩さずに最後まで話を聞くことが重要です。
相手側の話が区切られるタイミングが必ずあるので、その際にこちらが必要とする話を切り出すことを意識しましょう。
適切な相槌の使用について
「ええ」「うん」「うんうんうん」のようなビジネスにふさわしくないフレンドリーな相槌の使用はNGです。相槌は「はい」が基本です。そのなかで、単調になりすぎないように、
- さようでございますか
- それは大変なことでございましたね
- そのようなことがあったのですか?
と相槌にバリエーションを持たせるのも効果的です。
専門用語を使っていないか
電話対応において、誰にでも理解しやすい言葉、言葉遣いで対応することは非常に大切です。専門用語の多用は相手を混乱させてしまい、誤解を招く可能性もあります。
かつて私が旅行代理店で働いている時に、隣の席にいた社員が業界用語を多用して電話対応をしていたことが記憶にあります。
専門用語を多用してしまっている例
- 「いま、チケットがリザーブできました。それでは出発の1週間前にeチケとホテルバウチャーをご自宅へ発送します。座席については予めキャリア側にコンファームして頂くよう・・・」
ここまで業界用語を多用されると、用語の意味が分からなければ全く理解できませんね。
※リザーブ=予約、eチケ=電子航空チケット、ホテルバウチャー=予約確認票、キャリア=航空会社、コンファーム=確認
肯定的な表現で伝える
電話対応の品質を向上させるうえで、相手の発言を否定せずにまずは聞き入れ、解決策を導くと言う流れが非常に重要です。
相手の要望に対して、
- それはできません
- 無理ですね
と真っ向から否定しては親身な姿勢が感じられず、不満を与えてしまう結果となってしまいます。
まずはお客様の要望をしっかりと聞き入れ、一旦受け止める姿勢が大切です。そのうえで、要望を受け入れられない場合には丁重にお詫びをし、代替案があるのであれば提示する姿勢が大切です。
適切な場面で、適切なクッション言葉が使えているか
電話対応の品質として必ず重要視されるのが「クッション言葉」が適切に使えているかどうかという点です。
クッション言葉を簡単に説明すると、相手に対して「お願いごと」をする際に、一言前置きの言葉を伝えて、印象を柔らかくするための言葉です。クッション言葉の詳細については下記の記事を参考にしてみてください。
正しいクッション言葉の使用例
- 恐れ入りますが、お名前をフルネームでお伺いしてもよろしいでしょうか?
適切な場面でクッション言葉を使用するだけではなく、場面に合った適切なクッション言葉を使用できているかという点も重要です。
誤ったクッション言葉の使用例
- ご面倒ですが、ご生年月日をお伺いしてもよろしいでしょうか?
上記のように、依頼する内容とクッション言葉が噛み合っていないと、違和感のある文章となります。この場合には「失礼ですが」「恐れ入りますが」というクッション言葉が適切です。
基本マナーの徹底
挨拶、保留前後の言葉、名乗り、相手の行為に対する感謝の言葉など、基本マナーが徹底されているかどうかも品質を高める上で重要な項目です。
挨拶について
電話対応は人と人との対話であり、挨拶が必要不可欠です。
電話を取ったあとには「お電話ありがとうございます」保留の前後には「少々お待ちください」「お待たせいたしました」と、必ず添えるべき挨拶の言葉があります。
保留前後の挨拶
分からないことを聞かれた場合や、上席に確認する必要がある場合には電話を「保留」にしてお客様をお待たせすることになりますが、電話を保留にするときにも挨拶の言葉が必要になってきます。
保留にする前には「確認しますので、少々お待ちください」、保留を終え会話を再開するときには「お待たせいたしました」と伝えるようにしましょう。
クロージング(電話の終わり方)を徹底する
電話対応の最後を締めくくるのがクロージングと呼ばれるものです。
仮に電話対応中にお客様が多少不快になるようなことがあった場合でも、クロージングを徹底することで印象を良くすることができます。
クロージング時のポイントは下記の2つです。
不明点の確認
問題が解決したからといって、電話を切るのを急ぐかのように「それでは失礼いたします」と切り上げるのは失礼です。
「不明点の確認」という電話対応では必須の項目があります。相手に説明するべきことを説明したあとには、何か疑問に思っていることや確認したいことがないかなど、言葉に表して確認するのが望ましいクロージングです。
例
「ご案内は以上でございますが、何かご不明な点はございますか?」
このような問いかけを行うことで、親身に寄り添っている気持ちが伝わります。なにか新しく質問があった場合には、再度問題解決に向かって対応していきます。
ここで注意したいことは、新たな質問があったとして、その問題が解決した後にはまた新たに「不明点の確認」を行う必要があるということです。
2〜3質問が続いたとして「それでは失礼します」と、こちらから話をが切り上げるのは些か無礼です。「その他にはよろしいでしょうか?」と確認することが大切です。
また、「不明点はない」という返答が返ってきた場合には、「かしこまりました。なにかあればお気軽にお電話頂ければと存じます」と一言伝えると好印象です。
最後の名前の名乗り
オープニング同様、クロージング時にも自身の名前の名乗りを行うことが重要とされています。
自身の名前を改めて名乗ることで「今回の件は私が責任をもって対応します」という責任感が伝わり、相手を安心させることができます。
例
「本日は(株式会社〇〇)の△△が承りました。お電話ありがとうございました」
このような締めくくりが良いでしょう。また、状況に合わせて締めの言葉をアレンジすることも効果的です。
電話対応の締めくくりの言葉一覧
- 本日はお忙しいところお電話頂きありがとうございました
- 大変な中お電話頂き誠にありがとうございます
- 対応に不手際があり申し訳ございませんでした
- 今後ともどうぞよろしくお願いいたします
- また何かありましたらお気軽にお電話頂ければと思います
さいごに
長年コールセンターで働いている私ですが、電話対応は「人との出会い」であると思っています。顔は見えませんが、一期一会の気持ちを持って対応すると、自然と親切な対応になります。
今回は電話対応の品質向上のために必要なポイントを現役SVの目線からご紹介いたしました。是非参考にしてみてください。