「言った言わない」のトラブルは時に面倒な事態へと発展することがあります。
自分自身は相手にしっかりと伝えたはずなのに、相手から「そんな話聞いてない!」と言われ、理不尽な思いをした経験は誰しもがあると思います。
今回は「言った言わない」という問題を防ぐ方法について考えてみたいと思います。
「言った言わない」にはどんな種類がある?
言った言わない問題は「水掛け論」「いたちごっこ」とも言われ、お互いが自論を主張しあうという不毛なトラブルです。では「言った言わない」というものにはどんな種類があるのでしょうか。
間違いなく伝えたはずなのに、相手から「いや、聞いてない」と言われる
相手にしっかりと伝えたはずなのに、聞いていないと言われることがあります。相手にとって都合が悪くなったようなケースで、このような事態が発生することもあります。
ただし実際にこちらが「言ってなかった」ことも考えられるため、「言ったはず」と強く主張する前に自身の記憶をたどってみて、思い込みでないか顧みることも大事です。
言ってもいないことに対して、「そう言ったはずだ」と言われる
言った覚えのないことを「言ったはず」と追求されることもしばしばあります。「あれ?そんなこと言いましたっけ?」と曖昧な態度を示してしまっては付け込まれるのが関の山です。
間違いなく「言っていない」のであれば強く否定する姿勢も大切になってきます。
自分が伝えた内容と違う内容にすり替わる
「16時に集合で!」と伝えたはずなのに相手が待ち合わせ場所に現れず、「18時って聞いたけど・・・」と、本来伝えたはずの内容とすり替ってしまうことがあります。
数字などの情報は、自分自身が正しく「言ったかどうか」ではなく、相手に正しく「伝わったかどうか」が重要になってきます。
「言った言わない」を防ぐための具体的な方法について
言った言わないを防ぐことを意識すると、ビジネスや日常でのトラブルを極力防ぐことができます。下記の4つの方法を試してみてください。
証拠を残す
口約束には「証拠」が残らないため、言った言わない問題が生じることが多々あります。約束事には証拠を残すことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
なにより有効なのがメールやSNSなどのメッセージです。一度送受信したメッセージは消さない限り永遠に残るものなので「証拠」として残しておくととても役立ちます。
証拠の残し方
約束事などを証拠に残す場合、さりげなく伝えることも大切になってきます。念押しがましいメッセージを送るのでは悪い印象を与えてしまいます。
NG
- 念のための確認です。明日の待ち合わせは16時でお願いします。
絶対に間違えるなよ、という圧力が伝わってくるメッセージです。これでは自分自身がまるで信用されていないという印象を相手に持たれてしまいます。
OK
- 先程はお電話ありがとうございました。それでは明日16時にお待ちしていますので、よろしくお願いします。
メッセージを証拠として「さりげなく」残すことによって、言った言わないの議論を防ぐことができます。
第三者に聞こえるように言う
ビジネスでもプライベートでも、当人に大切なことを伝えるときは、職場の他の社員などの「第三者(証人)」に聞こえるように伝えるのも効果的です。
以前、物忘れが多い上司のもとで働いていた際、とある事案をしっかり上司に報告したにも関わらず「なぜ言わなかったんだ!?」と理不尽に怒られたことがありましたが、
他の社員がその時の報告をそばで聞いていたことによって、「ちゃんと伝えてましたよ」と助け船を出してくれたことがありました。
物事を伝える際、周囲にいる第三者にも聞こえるように伝え、「証人」になってもらうことも有効です。
電話の録音を確認する
電話のやりとりでも「言った言わない」が起こります。昨今ほとんどのコールセンターではオペレーターとお客様との会話が「録音」されており、企業側は録音を確認することで、言った言わないの真偽を確かめることができます。
録音を確認するまでもない些細なトラブルであれば良いのですが、言った言わないが原因の深刻なクレームが起こった場合には、当時の会話を録音した音声が重要になってきます。
電話の録音機能などのシステムの導入を検討してみるのも一つの解決策です。
特に重要な情報は丁寧に伝える
重要事項を棒読みにし、全く重要性を伝えようとしない営業マンに出くわしたことがあります。
「口頭で説明した」という事実を作るのは結構ですが、聞き手にしっかりと重要事項の大切さを説明し、理解してもらわないと意味がありません。
トラブルを未然に防ぐためにも、特に重要な情報は相手の理解度を確認しながら丁寧に伝えることが重要です。
言った言わないが起こった時の解決方法は?
そもそも重要な事柄について言葉を発したり約束するのであれば、契約書や覚書などの「書面」で取り交わすのが通常です。
口(くち)約束は双方の信頼関係の上に成り立つものですが、書面を取り交わすほど重要と考えていないというものでもあります。
さほど重要でない問題なら相手に譲る
「言った言わない」で相手と揉めた場合、意固地になってお互いに主張し合っても水掛け論になるのが関の山です。
間違いなく自分側が正しいと思っていても、取るに足らないような問題の場合は一歩身を引いて、
- 自分の勘違いだったかもしれません
などと相手の主張を認めるのも大人の対応です。
どうしても譲れない場合は?
言った言わないを解決するにあたって、どうしてもこちらが正しいことを相手に認めさせたい場合には、当時の発言について「具体性」を持たせることが有効です。
具体性の例
- いつその発言があったのかを伝える
- その時の周囲の状況を伝える
- どんな話題、会話の中でその発言があったのかを伝える
- その発言を聞いて、自分がどう思ったかを伝える
こうすることで、相手に当時の発言を思い出してもらえるという効果があります。
「渡した、もらってない」のトラブルもある
言った言わないのトラブルに似ているもので、「渡した、もらってない」というものもあります。
たとえば、会社の鍵や、重要書類、物件の鍵、飲み会の会費など、こうしたものをしっかりと相手に渡したにもかかわらず、後になって
「いや、もらってない」
と言ってくる場合があります。特に手渡しの場合には渡したことの証明ができないので、相手側から「もらってない」と言われると対応に苦慮することがあります。
その際には、その物を渡したときの日時や場所を明確に相手に伝えることが大事です。また、テクニックとして先程も伝えた通り、まわりの人を巻き込むことです。
周りに数人の社員がいる状態で、
「〇〇さん、金庫の鍵返しますね」
と、数人に聞こえるように言いながら渡すことで、言ってみれば証人を作ることができるわけです。
また、証拠を残すという意味では、社内メールも効果的です。
「〇〇さんへ、〇〇アパートのマスターキーですが、〇〇さんのデスクの引き出しに入れておきますので、確認されましたら返信いただけると幸いです。」
というメールを残します。こうすることで、後々になって「渡した、もらってない」というトラブルを避けることができます。付箋やメモ書きでは捨てられてしまい証拠にならないので、あくまでも記録に残るメールを使います。
手渡しではなく郵送という手段も有効
大事なものを手渡しで渡すのは、ある程度の信頼関係が成り立っていないとトラブルになります。
そんなときに有効なのが、「郵送」という手段です。重要な物を郵送した後に相手に到着確認を行います。到着したことを確認した後は、伝票の送り状をしっかりと保管しておくことが大切です。
さいごに
今回は言った言わない問題の種類と防ぐ方法についてお伝えしました。
言った言わない問題が起こるととてももどかしい気持ちになり、時には人間不信に陥りケンカになることも・・・。
社会人として働く以上は「自分を守る」ことも大切なので、是非この方法を参考にしてみてくださいね。