コールセンターでお客様との応対中に使ってはいけない26のNGワード(禁止用語)があります。
ネガティブワードとも言われていますが、NGワードを使用してしまうとお客様に不快な思いをさせてしまい、クレームに発展してしまう可能性があるので注意が必要です。
ここではコールセンターで使用してはいけない26のNGワードと、NGワードの言い換え方法についてお伝えします。
コールセンターで使ってはいけない26のNGワード
「下のお名前」
お客様のお名前を聞く際に、
「下のお名前を教えてください」
と聞いているオペレーターを見かけますが、「下のお名前」という言葉は失礼な表現であるため使用はNG。名前には上も下もありませんので、名前を聞く際には、
- 「フルネームをお伺いしてもよろしいでしょうか?」
と言い換えるようにしましょう。
「もしもし」
「もしもし」は仕事とプライベートの区切りがはっきりとできていない印象を与える言葉で、ビジネスやコールセンターでの使用はご法度。
電話中に相手の声が聞こえにくくなった場合には、
- 「〇〇様」
と呼びかけましょう。
「伝えておきます」
伝言などを頼まれたときは「伝えておきます」という敬意を欠いた言い方は避けましょう。
- ~しておきます
- やっておきます
という表現は一見丁寧に見えますが、その物事に対してあたかも「優先度が低い」「片手間でやってみせる」というニュアンスを含むものでもあります。
「伝えておきます」ではなく、
「申し伝えます」
という表現が望ましいと言えます。
「一応」
なんとも頼りない印象を与える言葉です。
- 一応、お電話した次第です
- 一応、ご連絡したほうが良いと思いまして・・・
「一応」が口癖の人は自分では気づいていないことがほとんどです。「嫌々やっているの?」と疑ってしまうくらい聞き苦しい言葉なので、使用は厳禁。
「一応やってみます」と言う人に任せる気にはなれません。「確認のため」「念のため」と言い換えるようにしましょう。
「できません」
「それはできません」
お客さまを真っ向から拒絶している印象を与えてしまうため、このような言葉は避けましょう。
どんなに無理難題を突きつけられても、
- 「お気持ちはお察し致します。申し訳ございませんが、そのようなことは弊社では致しかねます」
と、クッション言葉を用いて丁重にお断りしましょう。
また、代替案などがあれば提案することも大事です。
- 「そのようなことは致しかねますが、代わりに~でしたら可能ですが、いかがでしょうか」
このように、あくまで真っ向から否定するのではなく、お客様に寄り添う姿勢を示しましょう。
「絶対に」
「弊社の度重なるテストによって、耐久性が優れていることは証明されていますから、絶対に壊れることはございません」
コールセンターでは「絶対に」とお客様に断言することは避けましょう。断言をせず、事実のみを伝えることが重要です。
そうでないと、断言してしまったことにより後々お客様に大きな迷惑がかかったり、予期せぬクレームに発展してしまうことがあるからです。
仮に商品がどんなに耐久性に優れていても、絶対に壊れてしまうことがないとは言い切れません。断言をすることはせず、
- 「この商品は耐久性に優れており、弊社の何万回もの耐久テストをクリアしました」
などと、事実のみ伝えるようにしましょう。
「お電話をお回しします」
「担当部署へお電話を”お回し”します」という言い方はNG。
昔は電話交換手がダイヤルを回し、当該部署へ電話転送していたことが由来ですが、せっかく掛けて頂いた電話に対し”回す”という表現をしてしまっては、お客様に対し真摯に対応していない印象を与えてしまいます。
また「たらい回し」を想起させる言葉でもあるため、特にコールセンターでの使用は厳禁。
- 担当部署へお電話を”お繋ぎ”します
と伝えましょう。
「しょうがない」
これもまたお客様に使ってはいけないNGワードです。
「オタクの商品ツルツルしてるから落として壊れちゃったよ。返金してくれない?」
というようなクレームが入ったとします。お客様の落ち度であるため返品、返金はできませんが、こういったことを「しょうがない」と一蹴しては良くありません。
商品の特性のために破損してしまったということをお詫びし、返品はできない旨を伝えた上で、お客様の気持ちに寄り添うことが大事です。
「お世話さまです」
電話の相手が社名を名乗った後、日頃の感謝を込めて使う言葉ですが、本来は、
- 「お世話になっております」
が正解。「お世話さまです」は省略系のため、聞き手にとっては蔑ろに扱われたような印象を受けます。
上から目線な印象もあるため、日頃の付き合いのある会社に対して使用するのはNG。
「とんでもございません」
頻繁に耳にすることが増えてきているため、あまり違和感のない言葉に感じますが、文法的に誤りのあるNGワード。
「とんでもない」という言葉自体が1つの形容詞であるため、
- 「とんでもありません」
- 「とんでもございません」
のように変化することはありません。
「とんでもない」を丁寧語として伝えるなら、
- 「とんでもないです」
- 「とんでもないことでございます」
とするのが正解。聞き慣れない言葉ですが、分かる人には分かる一目置かれる言葉です。
「声が小さくて聞こえないのですが・・・」
お客様の声が聞き取りずらいときにこの言葉を使っているオペレーターを見かけますが、
聞き取りずらいことを全面的にお客様の責任にしているという失礼なNGワードです。
「声が小さいのですが」「聞こえないのですが」とは言わず、
- 「少々お電話が遠いようですが、こちらの声は聞こえていますか?」
と、お互いの声が聞き取れているか確認する言い方を心がけたいところです。
「~するかたち、~のほうへ」
- それでは請求書を再発行するかたちでよろしいでしょうか?
- 請求書はご自宅のほうへお送りしてよろしいでしょうか?
よく耳にするワードですね。この言葉を使用している本人に尋ねてみたことがあるのですが、「断言するよりもやんわりした印象になるから」というのが理由でした。
優しさから発せられるワードだとしても、聞いていて耳障りな人もいるので使用しないほうが良いでしょう。
- それでは請求書を再発行するということでよろしいでしょうか?
- 請求書はご自宅へお送りしてよろしいでしょうか?
自分自身に対しての「・・・はい。」
- 申し訳ございませんが、そのような事は当社では致しかねます・・・はい。
- ご請求書はおそらく2~3日で到着すると存じます・・・はい。
自分が言うべきことを言い切って、相手にボールを渡すがごとく「はい」と発しているオペレーターをよく見かけます。
相手から見ると、自分自身に対して「はい」と言っている様子はどこか滑稽で自信がないような印象さえ受けます。
- 申し訳ございませんが、そのような事は当社では致しかねます。
- ご請求書はおそらく2~3日で到着すると存じます。
上記のようにはっきりと言い切りましょう。
「お暇な時」
- お暇な時で結構ですので、申込用紙をご返送頂いてもよろしいでしょうか?
電話対応において相手に対し「暇」という言葉を使うのはNG。暇とは、時間を持て余して何もすることがないことを意味します。たとえ「お」を付けて丁寧な表現にしても失礼な印象は拭えません。
- お時間のある時で結構ですので
- ご都合の良い時で構いませんので
- お手すきの際で結構ですので
上記のような表現であれば問題ありません。
「そうですね」
電話対応において、相槌や返事をするときに「そうですね」という言葉を使用している方が多く見られますが、敬意のないフランクな言葉で、良い印象を与えません。
- そうですね
- そうなんですね
- そうですか〜
- そうですよね
- ですよ
- 〜ですかね?
- ですよね
など、「です」をつけて丁寧に表現しているようですが、このような言葉を不快に感じる人がいます。
- さようでございますか
- 〜でしょうか?
と敬意のある表現に言い換えましょう。
「させます」
- 担当者が戻り次第お電話させますので
「させます」という言葉はよく聞く言葉ではありますが、あたかも主従関係があるようで、語気が強く荒々しい印象を受ける言葉で、相手を萎縮させかねません。
- 担当者が戻り次第、折り返すように申し伝えます
と言い換えましょう。
「よろしいですね?」
- 新しいご住所は○○県××市~・・・でよろしいですね?
「よろしいですね?」は相手に対し高圧的かつ威圧的な印象を与えてしまうNGワード。この言葉がNGな理由は「念押し」の意味合いが強いため。
ミスなく応対を完結するためには「念押し」はせず「確認」をしましょう。
- 新しいご住所は○○県××市・・・でよろしいでしょうか?
「ので~」で終わる言葉
- それではご請求書を再発行いたしますので~!
- 担当者が戻り次第折り返しいたしますので~!
誰しも一度は聞いたことがあるであろう「ので~」で終わる言葉。
「ので」は「なので」の省略語であり、本来は接続詞として使うのが一般的です。よって「ので~」で終わる文章は違和感があるワードです。
「ので」を使用するのであれば、下記のように目的となる言葉を添える必要があります。
- ご請求書をお送りいたしますので、到着までお待ちください
- 担当者が戻り次第お電話いたしますので、折り返しのご連絡をお待ちください
「なってしまいます」
- 本日の発送業務は終了しておりますので、明日の発送になってしまいます。
- 今月中にご解約されますと、違約金が発生してしまいます。
「なってしまいます」は相手にネガティブな印象を与えてしまうNGワードです。ただ単純に事実を伝えれば良いだけなのですが、「そうすることによってこんな悪影響が出ます」という印象を与えてしまいます。
電話相手に対して感情移入することによって生じるワードでもありますが、事実のみを伝えるのがビジネスや電話対応ではスマートです。
- 本日の発送業務は終了しておりますので、明日発送いたします。
- 今月中にご解約されますと、違約金が発生いたします。
「ご存じないようでしたら」
- ご存じないようでしたら、電話番号をお伝えいたしますが・・・
一見丁寧に聞こえますが、「知ってて当然のこと」のように捉えられてしまい失礼な印象を与える言葉でもあります。
- よろしければ電話番号をお伝えいたしますが、いかがでしょうか?
- もしよろしければ電話番号をご案内いたします
このように言い換えれば問題ありません。
「何県何市」
- 何県何市にお住まいですか?
- 最寄りの駅は何駅ですか?
- 契約したのは何店ですか?
日常会話で頻繁に耳にする「何◯◯ですか?」というフレーズ。意味は通じますが、丁寧さに欠けフランクな印象を与えてしまうため電話対応にはふさわしくありません。言い換えるには、
- お住まいの市区町村名を教えていただけますか?
- 最寄り駅の駅名を教えていただけますか?
- ご契約された店舗名を教えて頂けますか?
「◯◯名」と表現すると丁寧な言い方になります。
「どのようなご用件ですか?」
電話の相手を急かしている印象で、威圧感を与える言葉です。用件を確認したい場合や、電話を取り次ぐ前に予め用件を聞いてから取り次ぐ場合などには、
- 恐れ入りますが、ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?
- 先にご用件をお伺いできますか?
と丁重に表現するのが良いでしょう。
「~的には」
- 時間的には、何時頃到着しますか?
- 私的には、その意見には賛成します
- 日にち的には、いつお支払い頂けそうですか?
柔らかく表現しようとするあまり「~的には」を多用するオペレーターを多く見てきましたが、この表現は滑稽であり、本来の意味とかけ離れていることがあるので注意です。
「~ところになる」
- このような理由でお電話をかけさせていただいたところになります
非常に丁寧な言い方に聞こえますが、「ところになる」という言葉はそもそも日本語として存在しません。聞き手に不快感を与えることもあるので注意です。
言い換えるには、
- このような理由でお電話した次第でございます
としましょう。
「メモのご用意はよろしいですか」
- それではFAX番号をお伝えしますので、メモのご用意はよろしいですか?
丁寧なように見えますが、押し付けがましい印象を与える言葉です。そもそも相手が常にメモを持っていることが前提と言わんばかりの配慮に欠いた言葉です。似たような言葉で「メモのご準備はよろしいですか?」というものありますが、これもNG。
言い換えるには、
- FAX番号をお伝えしますが、申し上げてもよろしいですか?
- FAX番号を今お伝えしてもよろしいでしょうか?
としましょう。このように伝えることで「あっ、ちょっと待ってください書くもの用意するので」といった自然な流れをつくることができます。
「後日ご連絡いたします」
- それでは、担当者より後日ご連絡いたします
「後日」とは、その日より後の日のことであり、明確な「期限」が分からないためお客様を不安にさせてしまいます。
どのくらい待てばよいのか、ということが分からないと人は不安になるものです。逆に期限がはっきりと案内されていれば、それだけで安心することもできます。
言い換えるには、
- それでは担当より本日中にご連絡いたします
- 担当者から一両日中にご連絡いたします
- 三営業日以内に担当者から回答いたします
と、期限を設けた伝え方をするよう心がけましょう。
さいごに
NGワードを使用してしまうと、悪気がないとしてもお客様の気分を害してしまうきっかけとなるので、ビジネス、コールセンターでは上記のNGワードは使用しないように注意しましょう。
続いてはお客様の話を聞く力を身に付ける方法について確認しましょう。